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カテゴリー「脳外科」の19件の投稿

2009年10月30日 (金)

血清S100Bレベルと頭部外傷による小児の頭蓋内障害(ICI)の関係

Relationship of serum S100B levels and intracranial injury in children with closed head trauma.
Pediatrics. 2009 Oct;124(4):e697-704. Epub 2009 Sep 28.

血清S100Bレベルと頭部外傷による小児の頭蓋内障害(ICI)の関係についての論文です。今回の目的は、頭CTでCHTやICIがみつかった小児では血清のS100Bが高いか、また長い頭蓋骨骨折がCHTや骨折の小児のS100Bレベルにどうか調べることである。最近小児救急センターを訪れたもしくは頭部外傷で6時間以内に病院から搬送された18歳以下の小児で頭部CTを行った人を前方視的に調べた。ICIの有無にかかわらず小児の血清S100Bレベルと長骨折を、共分散分析により評価した。152人の小児が対象となりICIのある24人とICIのない128人を前方視的に観察した。 25人に長骨折を認めた。ICIの小児は、ICIのない小児よりもかなり若かった (6.9 vs 9.8 年; P = .01)。障害後の静脈穿刺の時期はICIのない小児でかなり遅かった。平均S100BレベルはICIの小児でかなり高く、長骨折の小児や非白人でも高かった。静脈穿刺の時期や長骨折や人種を合わせた後では、平均S100Bレベルは、ICIのある小児で若干高値であった。ICIの発見のためにS100Bレベルの測定が有用性(曲線下面積として表す)は、0.67であった。論として静脈穿刺の時期、長骨折、人種を合わせた後では、S100Bのレベルは、ICIのある小児ではICIのない小児よりも高い。しかしながらICI発見のために血清S100Bを測定する意味はなさそうだ。

2009年8月13日 (木)

中等度から重度の外傷性脳損傷の小児と低血圧、低酸素血症

Early resuscitation of children with moderate-to-severe traumatic brain injury.
Pediatrics. 2009 Jul;124(1):56-64.

中等度から重度の外傷性脳損傷の小児に対する初期治療についての論文です。外傷性脳損傷は小児にとって死や障害を残す原因となる。ガイドラインは定まっており、低血圧や低酸素血症による二次性の脳損傷を防ぐことにある。この研究の目的は、初期治療中(病院以前と救急治療室)における低血圧や低酸素血症の有病率、モニターリング、治療について調べ、バイタルの状態と退院後の神経学的予後との間の関係を評価することである。方法は299人の中程度から重度の脳損傷の小児で、レベル1の小児外傷センターに運ばれたものを後方視的に検討した。我々はバイタルサインと初期治療中のあらゆる状態での低血圧と低酸素血症に対する医療者による反応をまとめた。血圧(31%)と酸素(34%)は初期治療中は記録されないこともあった。118人(39%)で低血圧が起きていた。低血圧の治療は48%(118人中57人)で行われた。重症度でみると、低血圧を治療されていない小児は治療された小児に比べて、死亡で3.4、後遺症で3.7倍オッズが上昇した。低酸素血症は131人に起き、92%で治療されていた。低酸素血症が治療されなくても、低血圧のときと違い、死亡や後遺症とはあまり関係なかった。低血圧と低酸素血症は小児脳損傷ではよくあることで、およそ三分の一の小児が初期治療段階で適切なモニターをされていなかった。低血圧、低酸素血症にすぐに対応することは予後の改善につながると思われた。

小児頭部外傷では初期治療中は常にAlineなどで血圧をモニターし、低血圧時はすぐにカテコラミンを早送りするなどしなければいけないんですね。SpO2モニターは割と簡便につけれるので、対応はされていることが多いみたいです。

2009年8月 2日 (日)

小児期初期の坐骨神経の神経内神経周膜腫

Intraneural perineurioma of the sciatic nerve in early childhood.
Pediatr Neurol. 2009 Jul;41(1):68-70.

 小児期初期の坐骨神経の神経内神経周膜腫についての論文です。神経内神経周膜腫は珍しい良性の腫瘍で、局所的な神経周膜細胞の増殖が特徴である。典型的な経過として、緩徐発症で、緩徐な運動障害進行である。小児期初期では発症時期不明のため、この治療できる病気と先天的で他の神経麻痺となる病気とを区別するのは難しい。今回のケースでは、臨床症状、神経生理学的所見、MRIは、腰仙骨神経幹と坐骨神経の神経内神経周膜腫に一致するものであった。最初、腓骨神経障害が疑われた。この症例では、坐骨神経の神経内神経周膜腫が小児期初期に起きており、坐骨神経の牽引が脛骨神経よりも、腓骨神経により早く障害を来たしたと考えられた。

2009年7月28日 (火)

両側の脈絡叢過形成についての症例報告と治療方針

Bilateral choroid plexus hyperplasia: a case report and management strategies.
Childs Nerv Syst. 2009 Jun 24.

両側の脈絡叢過形成についての症例報告と治療方針です。脈絡叢過形成は髄液の過産生によりシャントの必要なの水頭症来たすまれな原因である。VPシャントで治療されたら、その患者はシャントチューブをつたい腹膜内に髄液がたまることとなる。この状態への外科治療は、脈絡叢乳頭腫や脈絡叢癌ほどははっきり決まっていない。今回生後8日の男児が大泉門隆起と頭囲拡大(42cm)、頭部超音波で拡大した脈絡叢を示した。VPシャントは挿入されたが、2次的な進行性の水頭症、シャントチューブ内液貯留、腹水を来たした。その乳児は両側の脈絡叢切除を行ったところ髄液排液がうまくいくようになった。病理では脈絡叢過形成であった。文献症例では、治療はシャント、内視鏡的凝固、脈絡叢切除+頭蓋骨摘出である。髄液シャントが多くを占めるが全てではない。両側の脈絡叢切除は行うのみで、シャントがいらなくなる。

2009年6月18日 (木)

脳底動脈瘤の幼児における繰り返す後頭葉梗塞

Recurrent Posterior Circulation Stroke in an Infant With Basilar Artery Aneurysm. J Child Neurol. 2009 Jun 1.

脳底動脈瘤の幼児における繰り返す後頭葉梗塞についての論文です。後頭の循環を障害する虚血性梗塞は小児でよく認める。後頭部梗塞の原因と危険因子には、血管異常、頭蓋内外傷、心臓病、感染、出血素因などがある。しかしながら後頭循環梗塞の多くの小児において、背景因子はよく理解されていない。今回脳底動脈瘤による2次的な繰り返す後頭循環梗塞14ヶ月の小児について記す。

2009年5月19日 (火)

外傷後無言症

Post-traumatic mutism in children.
Brain Inj. 2009 May;23(5):445-9.

 外傷後無言症についての論文です。目的は小児の外傷後無言症の病因メカニズムについて調べることである。重症の頭部外傷を追い、無言症を呈した16人の小児を後方視的に分析した。外傷後意識障害は2-72日間続き、平均15.5日であった。一方外傷後無言症は2-56日間続き、平均11.94日間であった。意識障害と無言症の期間の関係は重要であった (p < 0.001)。SPECTでは、多持続虚血脳病変を全ての患者で認めた。患者は虚血病変の数に基づいて3つのグループに分けた。グループ1は4以下、グループ2は5-6、グループ3は7以上であった。無言症の期間はグループ1,2では殆ど変わらなかったが、グループ3と1,2では大きく異なった。びまん性脳損傷のほとんどの患者で無言症を呈した。無言症の期間は虚血病変の数と外傷後意識障害の期間と相関した。

2009年4月17日 (金)

乳児第三脳室の脈絡叢乳頭腫

Choroid plexus papillomas of the III ventricle in infants. Report of three cases.
Childs Nerv Syst. 1997 May;13(5):244-9.

 乳児第三脳室の脈絡叢乳頭腫についてのケースレポートです。第三脳室の脈絡叢乳頭腫はどの年代においても珍しい。今回第三脳室脈絡膜乳頭腫をきたしたケースを経験したので報告する。症例は皆4か月以下の男児で、全例頭蓋内圧の亢進、水頭症、大頭を認めた。3人は術前CTとエコーで評価した。うち二人はMRIも施行した。最初の症例は右皮質前頭の経脳室アプローチで亜全摘を行い、経脳梁アプローチで再手術を行った。他の2ケースでは最初から経脳梁アプローチをとった。二人の小児が永久的なVPシャントを必要とした。平均4.3年フォローでは度の症例も神経学的異常を認めていない。シャントの時期と必要性には、注意深い議論が必要である。多くのケースでは意味のないシャントを避けるために、術後水頭症と硬膜下水腫のコントロールのための臨床的、画像的(CT、エコー)フォローが必要である。手術の際のアプローチ法には経皮質、経脳梁的アプローチが議論されている。

2009年4月10日 (金)

オリエ病

Ollier disease.
Childs Nerv Syst. 2009 Mar 27.

 オリエ病に関する論文です。オリエ病はまれな、多発内軟骨腫を特徴とする非家族性の病気で、四肢の左右差と変形軟骨部位を呈する。臨床症状はたいてい局所痛、骨腫脹、骨腫瘤などで始まり、しばしば骨変形を伴う。軟骨の発生のため頭蓋内内軟骨腫が頭がい骨から生じることがある。頭痛と脳神経麻痺はよく認める症状である。唯一の治療法は外科的切除であり、病理学的骨折、成長障害、神経症状といった合併症も防げる。今回12歳のオリエ病の少年の頭がい骨内軟骨腫の手術をおこなった。腫瘍は右pterional approachにより海綿静脈洞に達し、部分的に摘出した。術後MRIでは残存腫瘍の増大を認め、患者さんは放射線治療を受けた。外科治療は頭蓋内内軟骨腫の主な治療であり、放射線治療は肉腫様増大をきたしたケースや今回のように全摘出が不可能であったケースに行うのがよい。

 オリエ病とは内軟骨腫症ともいい、多発性内軟骨腫を特徴とする非遺伝性疾患であり軟部組織血管腫のないものである(あるものはMaffucci症候群)。内軟骨腫は手、足、上腕、大腿、脛骨、骨盤に好発する。多くは片側性である。2002年、PTH/PTHrP受容体1型遺伝子の変異が原因で起きることもある。小児期に発症し、内軟骨腫病変部位に一致して、緩徐に骨の腫脹や変形が進行する。初発症状は指骨の腫脹や四肢の左右差である。

2009年2月27日 (金)

脊髄くも膜下スペース後のVPシャント不全

Acute ventriculoperitoneal shunt malfunction following opening of the spinal subarachnoid space: a case series.
Childs Nerv Syst. 2009 Jan 29.

脊髄くも膜下スペース後のVPシャント不全についての論文です。脳脊髄シャント不全はよくあることで、いくつかの原因が知られている。今回脊髄硬膜の開口によるシャント不全が原因不明のシャント不全患者の中にいると考えた。脊髄硬膜の開口術を受けたシャント水頭症の5人について述べる。すべての患者はシャント入れ替えが必要な急性のVPシャント不全を呈した。全てのシャントは手術検査ではちゃんと機能していたが、脈絡叢の成長とともに頭蓋内カテーテルが付着することがわかった。サイフォンの原理で開口部にくも膜下腔から脳脊髄液が流れ出て行くことが、急性のシャント不全の原因となったと考えた。脳脊髄液の流れの変化は、ある程度機能していたシャントの完全な機能不全をもたらした。水頭症でシャントが入っている患者さんにくも膜下スペースをいじる脊髄手術をすると急性のシャント不全が生じることを医者は知らなければいけない。これらの患者は、とりわけシャント不全が脊髄創の閉鎖を障害するようなときは術後早期にはより厳重な注意が必要である。

2009年2月17日 (火)

小児の外傷性または炎症性脊髄症による脊髄萎縮

Progression of spinal cord atrophy by traumatic or inflammatory myelopathy in the pediatric patients: case series.
Spinal Cord. 2009 Jan 27.

小児の外傷性または炎症性脊髄症による脊髄萎縮進行についての論文です。今回の目的は外傷や急性横断性脊髄炎により脊髄損傷をおい、その後、後遺症をおった小児患者の脊髄萎縮について調べることである。韓国ソウルの小児病院のリハビリテーション部で行った。横断性脊髄炎になった四肢麻痺の2人と外傷性脊髄症のため四肢麻痺になったひとりが今回含まれた。彼らの最初のMRIでは脊髄は膨隆しており、T2で高信号となっていた。数ヵ月後、彼らはステロイド治療やPTを行ったにもかかわらず運動能力の回復がなく、神経レベルの変化もなかった。フォローMRIでは脊髄の萎縮を認めた。もし外傷性もしくは炎症性の脊髄損傷の小児患者が数ヵ月後運動麻痺を残したら、脊髄萎縮が考えられる。

2009年1月12日 (月)

外科的水頭症治療された小児の視神経乳頭異常と網膜血管の異常

Abnormal optic disc and retinal vessels in children with surgically treated hydrocephalus
Br J Ophthalmol. Published Online First: 23 December 2008.

 外科的水頭症治療された小児の視神経乳頭異常と網膜血管の異常についての論文です。外科的に水頭症を治療された小児における視神経乳頭と網膜血管の形態について調査することが今回の目的である。69人(平均年齢9.6歳)の幼少時に外科的に水頭症を治療された小児を対象に前方視的ポピュレーションベースド研究を行った。全ての小児で検眼鏡で検査し、55人はさらに視神経乳頭と網膜血管形態を眼底写真のデジタルイメージ解析により評価した。結果は乳頭萎縮は69人中10人(14%)で見つかり、また対象群と比較して水頭症の小児では視神経乳頭平均は小さかった。カップ縁内の平面積は大きな差はなく、縁は水頭症の小児でかなり小さかった。コントロールと比べ、水頭症の小児では異常な網膜血管パターンを呈し、動脈はより直線的で、中心部の静脈分岐は少なかった。水頭症では視神経乳頭や縁に軽度の異常を認め、明らかな異常血管パターンを示す。これは出生前後の構造発達の異常を示している。今回の研究での視神経萎縮の頻度は以前の報告よりも低く、それは周産期のケアの改善や頭蓋内圧の調節の進歩を示している。
 
 頭蓋内圧亢進によって眼底や網膜血管が影響を受けるのですね。

population-based study:一般住民を母集団とした研究

2009年1月 7日 (水)

脳室シャントをしている青年が高血糖性ケトアシドーシス時に認めた一過性の脳室拡大

Transient Ventriculomegaly in an Adolescent Presenting with Shunted Hydrocephalus, Diabetic Ketoacidosis, and Hyperglycemia

Pediatr Neurosurg 2008;44:496-500

脳室シャントをしている青年が高血糖性ケトアシドーシス時に認めた一過性の脳室拡大についての論文です。DM性のケトアシドーシスを呈した脳室拡大について報告する。水頭症のためシャント術を施行され、脊髄髄膜瘤の治療をうけた15歳の男性が、DKAにて救命センターに搬送され、脳室拡大を指摘された。初診時は、患者は24-48時間に、傾眠、嘔気、嘔吐、発熱、多飲症であった。頭部CTは以前より脳室サイズが増大しており外科手術を勧められた。入院時血糖は1551で、重炭酸は9、pHは7.08であった。糖尿病性ケトアシドーシスとして治療したところ、発熱、傾眠、嘔気、嘔吐はよくなった。入院24時間後のCT再検では、元のサイズに戻っていた。画像所見と検査所見から言うと、一過性の脳室拡大は過度の高血糖と関係があると思われた。

高血糖と脳室拡大は関係あるのかもしれないのですね。不思議な感じがします。

2008年12月18日 (木)

磁石のおもちゃによるシャントバルブトラブル

Magnetic toys: forbidden for pediatric patients with certain programmable shunt valves?
Childs Nerv Syst. 2008 Dec 5.

MRIのような強力な磁石によるシャントバルブの調節異常や機能異常は知られているが、磁石のおもちゃによるシャントバルブトラブルはよくわかっていない。今回9つの磁石のおもちゃで調査してみた。一つの磁石による距離の影響を計算し、磁石から0-120mmはなれた7つの地点での磁束密度をa calibrated Hallプローブを用いて直接算出してみた。3つのシャントバルブStrata II small (Medtronic Inc.), Codman Hakim (Codman & Shurtleff), Polaris (Sophysa)にそれぞれ磁石のおもちゃを近づけてみた。いろいろな磁石のおもちゃの最大磁束密度は17-540mTでおもちゃと測定プローブとの距離に反比例した。Strata と Codmanのシャントバルブは全てのおもちゃに影響を受けた。シャントバルブ設定を変化させる距離はStrataで10-50mm、Codmanで5-30mmであった。Polarisのバルブ設定は、二つの磁石が反対側に位置するような構造なため、どんなおもちゃでいかなる距離でも影響を受けなかった。これは磁石のおもちゃを近づけたときにおきる、さまざまなシャントバルブの圧設定の変化を調べた最初の報告である。患者さん、脳外科医、神経科医、小児腫瘍医、コメディカルは、磁石のおもちゃの危険性を知り、シャント圧を変化させないよう知っておく必要がある。

2008年12月 1日 (月)

小児の脊髄血管奇形の臨床特徴

Clinical characteristic of spinal vascular malformation in pediatric patients.
Childs Nerv Syst. 2008 Nov 14.

小児の脊髄血管奇形の臨床特徴に関する論文です。72人の小児脊髄血管奇形の症例を振り返り、その症候、診断、治療を分析した。患者の性別、年齢、場所、経過、発達、治療、臨床的解剖的結果について調べた。脊髄の動静脈奇型が最もよく認め(44.4%)、硬膜下傍脊髄動静脈瘻(23.6%)が2番目、ついでCobb症候群13.9%、ついで脊髄海綿状血管腫が5.6%であった。乳児には脊髄の動静脈瘻は認めなかった。最もよく認めた時期は乳児期と思春期であった。79%が外科手術、塞栓術、もしくは両方により治療され、71.5%で改善を認めた。早期発見早期治療が求められ、外科手術と塞栓術、またはその組み合わせが現在の治療である。

2008年11月26日 (水)

転落事故による乳児の頭部外傷

Potential for head injuries in infants from low-height falls.
J Neurosurg Pediatrics. 2008 Nov;2(5):321-30.

 転落事故による乳児の頭部外傷についての論文です。転落は虐待同じくらいよいくある乳児の事故である。転落のメカニズムを理解は、偶発的もしくは故意の外傷の診断につながる客観的なデータとなる。この研究の目的は低地から転落した乳児に生じる衝撃力と角加速度を調べることである。乳児の人形を作り、マットレス、カーペット、コンクリートの上に低地から転落させた際に生じる衝撃力と3次元での角加速度を測定した。高さがあるほど、カーペットやコンクリートに頭から落ちたときのピークの角加速度、ピーク間の角速度の変化、速度の変化の時間間隔、ピークの衝撃力は増加するのに対し、マットレスに落ちたときは高さにはそれらは関係がなかった。カーペットに落ちたときは、その圧縮のおかげで0.6mと0.9mではピークの角加速度は大きな差はなかった。驚くことに矢状断のピークの角加速度は水平段のピークの角加速度に比べ同等か上だった。今回低地からの転落乳児の頭部にかかる3Dの角加速度と衝撃力のデータがでた。さらにこれからの乳児の頭部のコンピューターモデルによる研究では、低地から頭から落ちたときの後頭部骨折の可能性の今回の研究で測定した値を利用できると思われる。またこれらの研究では、偶発的、故意の頭部外傷の評価を手助けしたり、子どもの安全環境のデザインに寄与したりするだろう。

物理的な話が多く、難しかったです。こどものことを考えるとマットレスがいいんですね。さっそくうちでも利用してみようと思います。

2008年10月17日 (金)

小児の非症候性特発性頭蓋内圧亢進症

Asymptomatic idiopathic intracranial hypertension in children.
 Acta Neurol Scand. 2008 Oct;118(4):251-5.
 
 小児における非症候性の特発性頭蓋内圧亢進症についての論文です。今回の目的は非症候性の小児における特発性頭蓋内圧亢進症の特徴を明らかにすることである。2000年から2006年までの神経眼科データベースから、症候性もしくは非症候性の小児の特発性頭蓋内圧亢進症の全ての症例について後方視的に調査した。45人の特発性頭蓋内圧亢進症がおり、14人(31.1%)が非症候性(たまたま見つかった)であった。症候性の特発性頭蓋内圧亢進症の小児と比べると非症候性の症例では、より若年の方が多く[5.6 (1.8-15) vs 11.0 (5-17) years, P = 0.007]、肥満の割合が少なく(14.3% vs 48.4%, P = 0.046)、男性のほうが多かった (71.4% vs 38.7%, P = 0.06)。非症候性の患者はアセタゾラミド治療の短期治療を要し、目の乳頭浮腫は完全に消失した。私たちは非症候性の特発性頭蓋内圧亢進症は若年小児でより一般的であり、より軽症型もしくは古典的な症候性の特発性頭蓋内圧亢進症になる以前の前症候性タイプであると考えている。非症候性の特発性頭蓋内圧亢進症の臨床像を明らかにするさらなる研究が望まれる。

特発性頭蓋内圧亢進症は頭痛や眼症状などの症状を来たすため、脳外科や眼科で扱う病気のようです。

<特発性頭蓋内圧亢進症による頭痛の診断基準>
A. 以下の特徴のうち少なくとも1項目が該当する進行性頭痛で、CおよびDを満たす
1. 連日性
2. 頭部全体 および・または 持続性(非拍動性)の痛み
3. 咳 または 息みによって増悪する
B. 次の基準を満たす頭蓋内圧亢進
1. 意識清明の患者で、神経所見が正常、または次の異常のうちいずれかを示す
 a) 乳頭浮腫
 b) 盲点拡大
 c) 視野欠損(治療しなければ進行性)
 d) 第6脳神経麻痺
2. 髄液圧上昇(肥満がない場合は200ミリ水柱超、肥満がある場合は250ミリ水柱超)が、臥位腰椎穿刺による測定、あるいは硬膜外圧モニターまたは脳室内圧モニターによる測定で示される
3. 髄液化学検査および細胞検査が正常(髄液蛋白低値は許容される)
4. 適切な検査で頭蓋内疾患(静脈洞血栓症を含む)が否定される
5. 頭蓋内圧亢進をきたす代謝、中毒 または 内分泌性の原因がない
C. 頭痛は頭蓋内圧亢進と時期的に一致して起こる
D. 頭痛は、髄液ドレナージにより120-170 mmH2Oに減圧後に軽減し、頭蓋内圧が持      続的に正常化してから72時間以内に消失する
コメント:
特発性頭蓋内圧亢進(IIH)は、若年肥満女性で最も多く起こる。
IIH患者の大半が乳頭浮腫を呈するが、乳頭浮腫のないIIHもみられる。
IIHのその他の症候には、頭蓋内雑音、耳鳴、一過性霧視、複視がある

2008年10月16日 (木)

サリドマイドと頭蓋内血管腫

Use of thalidomide to diminish growth velocity in a life-threatening congenital intracranial hemangioma.
J Neurosurg Pediatrics. 2008 Aug;2(2):125-9.

 致死性の先天性頭蓋内血管腫の成長速度を減少させるためのサリドマイド治療についての論文です。幼児の毛細血管腫は最もよくある小児の血管奇形である。その腫瘤はしばしば頭部や頚部に生じるが、頭蓋内にできたまれなケースについて報告する。その自然死は最初に急速に成長し、その後成長は止まり、その後多くの場合退縮する。腫瘍は両性と考えられるが、10%が致死性の合併症を呈する(そこでは致死率は20-80%である)。手術や他の局所的な治療は不可能なときに、治療手段は限られる。ステロイドは治療の主流をなすが、治療効果は不確定であり、感染のリスクも無視できない。またインターフェロンα-2aは効果的であるが、かなり毒性がある。VEGFやbFGFは血管腫の病因と関係があるとされ、抗血管形成薬がこの血管腫の治療として評価されてきている。サリドマイドはbFGFやVEGF経路と拮抗するため致死的な血管腫に対する理想的な治療であり、他の治療法よりは軽度な副作用と思われる。今回致死的で切除不能な頭蓋内血管腫に対しサリドマイド治療を行い、よい結果が得られて乳児を経験したので報告する。

 サリドマイドにbFGFやVEGF経路と拮抗する作用があるんですね。なんとなくサリドマイドというと怖いイメージがあったのですが、最近見直されている薬です。

調べたところ・・・
 最初は睡眠薬として使われた薬だが、1965年にイスラエルの医師がハンセン病患者に鎮痛剤としてサリドマイドを処方したところハンセン病特有の皮膚症状の改善がみられた。さらに、1989年にがん患者の体力消耗や食欲不振の原因である腫瘍壊死因子α(TNF-α)の阻害作用が発見された。また、サリドマイドには「血管新生阻害作用」があることがわかった。これは胎児に対しては手足の毛細血管の成長をさまたげ奇形を発生させる原因となっている可能性がある。一方、癌組織への毛細血管の成長を阻害し結果、多発性骨髄腫などの癌への治療効果があることがわかってきた。特に鎮痛効果が期待されているようである。

2008年9月 4日 (木)

胸椎の椎間板ヘルニア

Thoracic disk herniation resulting in acutely progressing paraplegia in a pediatric patient.
Pediatr Emerg Care. 2008 Aug;24(8):550-3.

胸椎の椎間板ヘルニアにより急性進行性の対麻痺を来たした小児例についての論文です。
胸椎の椎間板のヘルニアは珍しく、小児におけるこの病気の急性期の発表は非常に珍しい。
有病率も低いため急性の症候性の胸椎椎間板ヘルニアの診断は難しい。この論文の目的は小児患者における急性の非外傷性の胸椎椎間板ヘルニアの病態、診断、外科的な処置について示した。非外傷性の急性症候性の胸椎椎間板ヘルニアを来たした小児患者のケースレポートである。診断と外科的除圧術の方法についても示す。神経障害についても詳細に示す。16歳の女児で、急激に症候性のT10-11の椎間板の傍正中部のヘルニアをきたし、左胸部からの小切開を行った。Th10-11の除圧は肋骨支柱グラフトによるTh10とTh11の合成により行った。術後に患者の両側の下肢麻痺と感覚異常はほぼ完全に消失した。胸部の椎間板ヘルニアは珍しく、小児ではさらに珍しい。そのため胸部の椎間板ヘルニアの診断治療は、非常に難しい。このケースで特に強調したいことは、急激な神経筋障害のときに椎間板の異常を考えにくいことであった。このようなときには胸椎椎間板ヘルニアは鑑別診断にあげるべきで、適切な診断的検査を迅速にすべきである。単純写真では原因となるものを見つけられない可能性があり、緊急のMRIによって迅速に診断できると思われる。早期にみつけ、早期に除圧することで機能的な回復を得られるのである。

expeditious:迅速な
delineate:描く

2008年8月27日 (水)

頭部外傷後の高機能障害

Executive functioning in the first year after pediatric traumatic brain injury.
Pediatrics. 2008 Jun;121(6):e1686-95.

小児の頭部外傷後1年の高機能行動についての論文です。頭部外傷の子供は、しばしば目標指向行動といった高機能の障害を呈する。高機能障害調査用紙を用いて、家族に対して日々の高機能行動を調べた。このスタディの目的は高機能障害調査用紙を用いて外傷後の高機能行動の変化と事故に関連した障害を調べることである。頭部外傷の子供は他の整形外科的に入院している子供たちに比べより高機能が侵され、頭部外傷の程度がひどいほどより障害がひどいと思われる。また子供たちの事故前の機能と家族の特徴により、事故後の高機能行動は左右されると予想された。5歳から15歳の330人の軽症~重症の頭部外傷の子供達の家族から高機能行動の長期的スタディを行った。家族は高機能障害調査用紙に事故前と3ヵ月後、1年後のことを書き込んだ。頭部外傷グループとコントロールではベースラインの高機能障害スコアは変わりなかった。事故から3ヵ月後の頭部外傷の子供ではコントロールに比べてGlobal Executive Compositeスコアは悪かった。1年後では頭部外傷の子供たちはコントロールと比べBehavioral Regulation IndexやMetacognition Index、Global Executive Compositeスコアのすべてで異なっていた。作業記憶はコントロール群と全ての3つの頭部外傷群(3ヵ月後も12ヵ月後も)で異なっていた。高機能行動は事故後3-12ヶ月は安定している。事前の学習行動障害や回答者の低教育、家族機能の障害ではGlobal Executive Compositeスコアは低かった。頭部外傷の子供の18-38%では事故後1年間で重大な高機能障害を呈し、事故が重大であればより機能障害を呈した。これは以前の発表と一致しており、事故前の学習行動異常や家族機能の障害は高機能に悪影響を及ぼしている。この結果により頭部外傷後の高機能障害について、認知異常を見つけ適切な行動へと改善させるためのよりよいスクリーニングをする必要があることがいえる。

今までいった病院が脳外科のある病院が多く、しばしば小児科病棟にも頭部外傷の子供が入院します。最初は意識もないのですが、1ヶ月くらいすると普通にもどっています。高機能行動までは、どうかわからなかったのですが、結構あるんですね。また家族の機能もも大切なんですね。

executive:ひどい
goal-directed behavior :目的指向行動
premorbid:発病前の
respondent :回答者