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カテゴリー「感染症」の30件の投稿

2009年10月26日 (月)

 中枢神経合併の聴覚症候性先天性サイトメガロウイルス感染症におけるガンシクロビルの効果

Effect of ganciclovir therapy on hearing in symptomatic congenital cytomegalovirus disease involving the central nervous system: a randomized, controlled trial.
J Pediatr. 2003 Jul;143(1):16-25.

 中枢神経合併の聴覚症候性先天性サイトメガロウイルス感染症におけるガンシクロビルの効果についての論文です。今回先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症におけるガンシクロビル治療の効果と安全性について調べた。中枢神経合併の症候性CMV感染症の新生児を6週間ガンシクロビル静注と無治療群に無作為に分類した。最初のエンドポイントを、ベースラインと6カ月時でABRの正常化したときにした。ベースラインで聴覚が正常の人は、両時期でABR正常とした。1991年から1999年で100人が対象となった。うち42人がベースラインと6カ月でABRで聴覚検査を行われ、最初のエンドポイントで評価の対象となった。ガンシクロビル群25人中21人(84%)が、ベースラインと6カ月後で聴覚の改善もしくは正常のままであった。無治療群17人では10人(59%)であった。聴覚が悪くなった患者は、ガンシクロビル群では0人に対し、無治療群では7人であった。43人全員でベースラインと1年後移行にABRをおこなった。1年後移行ではガンシクロビル群5人(21%)で聴覚の増悪を認め、無治療群では13人(68%)に認めた。89人全員で、この研究中に絶対好中球数を調べたところ、46人ガンシクロビル群では29人(63%)がグレード3か4の低下に対し、無治療群では43人中9人(21%)であった。中枢神経合併の症候性CMV感染症の新生児期に行うガンシクロビル治療は6カ月時の聴覚異常を予防してくるし、1年以降の聴覚障害も予防できるかもしれない。およそ2/3の乳児は治療中に好中球減少をきたす。

2009年10月 7日 (水)

熱性けいれんの再発を予防するための解熱薬

Antipyretic agents for preventing recurrences of febrile seizures: randomized controlled trial.
Arch Pediatr Adolesc Med. 2009 Sep;163(9):799-804.

熱性けいれんの再発を予防するための解熱薬についての無作為試験である。目的は熱性けいれんを予防するための様々な解熱薬の効果と最も推奨される量についてしらべることである。研究デザインはプラセボコントロールの二重盲検試験である。5つの小児専用病院である。初回熱性けいれんを1,997年1月1日から2003年12月31日に起こした231人の小児である。小児は2年間観察された。観察期間中、すべての熱性けいれんはジクロフェナクかプラセボかで最初治療された。8時間後、経口のイブプロフェンかアセトアミノフェン、プラセボで治療を行った。熱性けいれんの再発の有無で評価した。小児は851回熱を経験し、うち89回は熱性けいれんを伴った。効果に関してはグループ間で大きな差はなく、解熱薬投与群で23.4%、プラセボ群でも23.5%であった。熱はけいれん無し群(38.9度)よりけいれん群(39.7度)のほうがかなり高かった。解熱薬の投与にはあまり関係なかった。解熱薬は熱性けいれんの再発の予防には効果はなく、再発性熱性けいれんを起こすような発熱時の体温をさげる効果もなかった。

2009年10月 5日 (月)

小児のポッツパフィー腫瘍

Pott's puffy tumor in children.
Childs Nerv Syst. 2009 Sep 2.

小児のポッツパフィー腫瘍についての論文です。ポッツパフィー腫瘍は、前頭骨の骨髄炎によって生じた骨膜下膿瘍による腫瘍である。抗生剤使用のため報告はあまりないが、この10年では増加している。後方視的にカルテを参照にして、第3メディカルセンターにおけるここ20年間の6人のポッツパフィー腫瘍小児患者の臨床型を分析してみた。一例を詳細に報告する。男女比は5:1で、診断時の平均年齢は13歳と3か月であった。危険因子として2人が急性副鼻腔炎、2人が慢性副鼻腔炎、2人が最近の頭部外傷で、1人で頭蓋骨の穿孔治療を要した。最もよく認めた症状は熱、頭痛、前頭部の緊張、嘔吐、倦怠感であった。ポッツパフィー腫瘍は発熱から平均7日間で診断され、診断時に半数は、頭蓋内病変を伴っていた。全員が頭蓋内感染を合併しており、ほとんどは硬膜下膿瘍であった。副鼻腔炎合併の多くは、前頭洞であった。前頭洞は頭蓋内感染の最も多くできる場所で、うち3分の2は2つ以上の多発するものであった。最初の手術は診断から平均5.8日で行われ、患者の半分は、再手術をおこなった。致死率は17%であった(6人中一人)。ポッツパフィー腫瘍の徴候は、たとえ初期に頭蓋内病変を合併していてもはっきりしない。初期診断と長期の抗生剤治療を含めた迅速で積極的な治療は重要で、予後を改善してくれる。

2009年9月20日 (日)

溶連菌感染後の行動異常による偶発的な転倒

Accidental fall due to abnormal behavior after experiencing a Streptococcus pyogenes infection: febrile delirium or pediatric autoimmune neuropsychiatric disorder associated with streptococcal infection?
Pediatr Emerg Care. 2009 Aug;25(8):523-4.

 溶連菌感染後の行動異常による偶発的な転倒(溶連菌感染による熱せん妄と小児の自己免疫性精神神経疾患)についての論文です。11歳の少年は高熱のため、近所の病院を受診した。溶連菌と診断され抗生剤を処方された。家に帰ると1回内服し休んでいたが、突然歩き回り、意味不明の言葉を叫びだした。2階にある彼の部屋中を駆け回り、窓から地面へ転落した。彼は意識を失い、病院に搬送された。彼は双胎として低出生体重で生まれ、1歳時に肺炎の既往がある。彼は入院7日目に意識が回復し、14日目に後遺症なく退院した。彼の異常行動は熱せん妄、もしくは溶連菌感染関連の小児の自己免疫性神経精神障害から起きているものと思われた。

2009年9月19日 (土)

小児期の単肢筋委縮症とポリオ脊髄炎

Pediatric monomelic amyotrophy: Evidence for poliomyelitis in vulnerable populations.
Muscle Nerve. 2009 Jul 30.

小児期の単肢筋委縮症とポリオ脊髄炎についての論文です。小児の単肢筋委縮症は診断が困難である。移民と養子では、ほとんどあるいは全く治療歴のないというのも部分的に真実である。今回、臨床的ならびに電気生理学的に片側もしくは非対称の運動神経麻痺から単肢筋委縮症と診断した11人の小児について報告する。単肢筋委縮症の原因は、1、野生型のポリオウイルス脊髄炎、2、ポリオ様ウイルス脊髄炎、3、ワクチン関連麻痺性ポリオ脊髄炎の3つに分けられた。

2009年9月15日 (火)

複雑型熱性けいれん小児における細菌性髄膜炎、単純ヘルペス性脳炎のリスク

Risk of Bacterial or Herpes Simplex Virus Meningitis/Encephalitis in Children With Complex Febrile Seizures
Pediatric Emergency Care August 2009 - Volume 25 - Issue 8 - pp 494-497

複雑型熱性けいれん小児における細菌性髄膜炎、単純ヘルペス性脳炎のリスクについての論文です。この研究の目的は、複雑型熱性けいれんを呈する小児の細菌性髄膜炎と単純ヘルペス性脳炎の合併率について調べることである。2002年から2006年までのトロントにある小児病院で熱性けいれん、髄膜炎、脳炎と診断された6か月から6歳までのすべての小児のカルテをまとめた。複雑型熱性けいれんを合併する細菌性髄膜炎と単純ヘルペス脳炎の小児での割合を計算してみた。366小児中、複雑型熱性けいれんを合併したのが390けいれんであった。これらのうち、75回(19%)は、範囲外の病院から運ばれていた。熱性けいれん歴は140人に認めた。腰椎穿刺は146人で行われた。6人で細菌性髄膜炎と診断され、全員が肺炎球菌によるものであった。転院症例1例は、HSV脳炎と診断された。救命センターを最初に訪れた患者の中で細菌性髄膜炎とHSV脳炎の割合は0.3%であった。結論として、複雑型熱性けいれんをていする小児の細菌性髄膜炎とHSV脳炎の割合は低く、これらの患者に対して毎回腰椎穿刺をする必要はないようだ。

2009年8月14日 (金)

新生児における肺炎桿菌性脳膿瘍

Klebsiella pneumoniae Brain Abscess in Neonates: A Report of 2 Cases.
J Child Neurol. 2009 Jul 2.

 新生児における肺炎桿菌性脳膿瘍についての症例報告です。脳膿瘍は新生児では珍しく、肺炎桿菌は脳膿瘍の原因としてさらに珍しい。今回肺炎桿菌性の敗血症から脳膿瘍になった2乳児を報告する。一人目は早産児でRDSによって呼吸器管理となり、その後、院内感染により敗血症、さらに髄膜炎所見なく脳膿瘍になった。もう一人は、敗血症のリスクのない正期産児で、日令6にけいれんをきたし、髄膜炎ならびに脳膿瘍であることがわかった。両者とも血液培養より肺炎桿菌が検出され、比較的大きな脳膿瘍が多発しており、抗生剤に対する反応は悪かった。乳児らは大泉門からのドレナージと長期の抗生剤投与を行った。この報告の大事なところは肺炎桿菌脳膿瘍が髄膜炎所見なしで起こったことであり、さらにリスクファクターのない児においても起こったことである。

2009年6月28日 (日)

先天性サイトメガロウイルス感染症

Congenital cytomegalovirus: new progress in an old disease
Paediatrics and Child Health Volume 19, Issue 4, April 2009, Pages 178-184

先天性サイトメガロウイルス感染症についての論文です。先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染は、全出生児の0.18-6.2%が罹患する先進国では最も有名な先天感染である。数十年前から乳児期の神経発達異常や聴覚障害としてCMVは知られていたが、その治療や予防法についてはほとんど進歩が無かった。ここ10年の研究により、先天性CMVの診断、予後、治療、予防について大きく成果がでた。このレビューでは、CMVで生まれた新生児の治療とそれらの重要性についてまとめた。

2009年5月 8日 (金)

全副鼻腔炎関連の硬膜外膿瘍と髄膜炎

Meningitis and epidural abscess related to pansinusitis.
Pediatr Emerg Care. 2009 Apr;25(4):267-8.

 全副鼻腔炎関連の硬膜外膿瘍と髄膜炎についての論文です。副鼻腔炎は、希に浅在性で直接浸潤した頭蓋内合併症と呈することがある。今回典型的な髄膜炎を来たした11歳の女児について報告する。脳膿瘍の軽快が緩徐のため画像検査を行った。副鼻腔炎の既往や検査所見がないにもかかわらず、全副鼻腔炎から頭蓋内に進展し髄膜炎や硬膜外膿瘍を来たしたことがわかった。

2009年5月 6日 (水)

小児のマイコプラズマ肺炎関連脳梗塞

Mycoplasma pneumoniae--Associated Cerebral Infarction in a Child.
J Trop Pediatr. 2009 Feb 10.

小児のマイコプラズマ肺炎関連脳梗塞についての論文です。マイコプラズマ肺炎感染の肺外合併症として最も有名なのは中枢神経合併症である。今回4歳の子で、マイコプラズマ気道感染症発症3日目に急性の脳梗塞をきたした例を経験した。
脳のMRアンギオグラフィーでは両側の内頸動脈と椎骨動脈が第一頚椎のレベル上で閉塞してした。これまでにこのような報告はない。

2009年5月 1日 (金)

視力低下の治療できる原因としての神経ブルセラ症

Neurobrucellosis: a partially treatable cause of vision loss.
Pediatr Neurol. 2009 May;40(5):401-3.

視力低下の治療できる原因としての神経ブルセラ症についての論文です。ブルセラ症による中枢神経系障害はまれで様々な臨床症状を呈する。今回視力低下と片側性の難聴をきたした神経ブルセラ症の13歳男児を報告する。脳MRIでは、視神経交叉にのびる鞍上部の腫瘤を認めた。この症例は視神経交叉病変を合併する小児神経ブルセラ症の新しい所見であった。患者の視力は、抗生剤治療後に回復したが、聴力はしなかった。

2009年3月28日 (土)

小児の回虫関連寄生虫脳症

Ascariasis-associated worm encephalopathy in a young child.
Trop Doct. 2009 Apr;39(2):113-4.

 小児の回虫関連寄生虫脳症に関する論文です。小児の回虫の奇生により、様々な症状を呈するが、脳症は極めてまれである。この報告は小児の回虫関連脳症に関するものである。18か月の小児が知覚異常で入院してきた。彼には嘔吐歴があり、吐しゃ物のなかに回虫を認めた。脳脊髄液検査では異常を認めなかった。駆虫薬で治療され、完全に回復した。寄生虫による脳症は、熱帯地方の原因不明の脳症の際の鑑別診断として考慮されるべきである。

2009年3月19日 (木)

RSウイルス感染症の中枢神経合併症

Neurological Complications of Respiratory Syncytial Virus Infection: Case Series and Review of Literature.
J Child Neurol. 2009 Mar 4.

 RSウイルス感染症の中枢神経合併症についての論文です。RSウイルスは小児のよくある感染症である。今回中枢神経合併症により小児ICUに入院した9人の診断的特徴をまとめた。
患者は生後5週から3歳までで、4人が痙攣、4人が心停止、一人が筋緊張亢進を呈した。5人で脳MRIを施行し、一人が異常であった。4人に髄液を採取し一人のみ蛋白が増加していた。血清Naは二人で低下、7人で正常であった。脳波は8人で施行し、7人で異常であった。RSウイルスの神経合併症のリスクを集中治療必要とするような患者では考えなければならない。臨床症状は痙攣、脳症、神経所見の異常である。今回脳波が神経合併症を見つけるために一番感度がよかった。

2009年3月11日 (水)

ロタウイルス胃腸炎関連良性けいれんの臨床的特徴

Clinical Characteristics of Benign Convulsions With Rotavirus Gastroenteritis.
J Child Neurol. 2009 Jan 23.

 ロタウイルス胃腸炎関連良性けいれんの臨床的特徴についての論文です。軽症胃腸炎の乳幼児にけんれんがおきる。今回われわれは2002年2月から2008年4月までのロタウイルス胃腸炎で入院した106人の患者を後方視的に調査した。23人がけいれんを呈し、13人が良性けいれんで9人が熱性けいれん、一人がてんかん発作であった。良性けいれんの患者の胃腸炎は入院時と入院中の体重や血清クレアチニンからみると軽症だった。 良性けいれん患者の血清NaとClはけいれんのなかった患者に比べて比較的低値であった(P = .006, and P = .008)。13人中12人がカルバマゼピン5mg/kg経口投与後にはけいれんがなく一人のみ経口投与15分後に一回けいれんを起こした。結論としてカルバマゼピン治療はロタウイルス胃腸炎の良性けいれんに効果的であるといえる。

2009年3月 9日 (月)

重度の小児破傷風の治療としての硫酸マグネシウム静注

Intravenous magnesium sulphate infusion in the management of very severe tetanus in a child: a descriptive case report.
J Trop Pediatr. 2009 Feb;55(1):58-9.

重度の小児破傷風の治療としての硫酸マグネシウム静注についての論文です。今回7歳の男児が重度の破傷風に罹患し、深い沈静と人工呼吸を要するスパズムと自律神経異常のコントロールのために硫酸マグネシウムの持続静注を行った。マグネシウム静注は副作用無く、後遺症無く回復した。重度の破傷風の際は、安価で効果のよい硫酸マグネシウムの静注を推奨する。

2009年3月 2日 (月)

単純ヘルペス(HSV)脳炎の新生児の髄液中のHSV-DNAの存在

Persistence of herpes simplex virus DNA in cerebrospinal fluid of neonates with herpes simplex virus encephalitis.
J Perinatol. 2009 Feb 5.

単純ヘルペス(HSV)脳炎の新生児の髄液中のHSV-DNAの存在についての論文です。高容量アシクロビル治療後のHSV脳炎の新生児の髄液中のHSV-DNAの検出の重要性は知られていない。今回15-21日の高容量アシクロビル後にPCRにより髄液中のHSV-DNAの存在が確認された4人のHSV脳炎の臨床的、生化学的特徴と画像検査と予後を報告する。後方視的に行った。4人乳児全てで異常画像を認め、最終的には重度の発達遅滞、もしくは死亡という転機であった。持続的に髄液のHSV-DNAが陽性の新生児はより神経予後が悪いといえる。更なる研究でいつまで髄液中のHSV-DNAが続くか調べ、最初に髄液中のウイルス量が多いか、持続的にウイルスが再生しているのか、ウイルスに耐性があるかどうかをはっきりさせ、神経発達予後改善につなげらる可能性を見つける必要がある。

2009年2月19日 (木)

急性の細菌性髄膜炎の抗生剤治療の遅れとその影響

Antibiotic treatment delay and outcome in acute bacterial meningitis.
J Infect 2008 Dec 57(6):449-54

急性の細菌性髄膜炎の抗生剤治療の遅れとその影響についての論文です。抗生剤治療の遅れがどれだけ細菌性髄膜炎の予後に影響するかを調べた。東デンマークで2002年から2004年までの髄液培養陽性のすべての症例を対象とした。カルテを後方視的に98.4%のケースで調べることが出来た。 グラスゴーの予後スケールを用いた。重回帰分析には以下のような仮説因子を含んだ。治療の遅れ、年齢、細菌種、ステロイド治療、入院時の意識混濁、危険因子の存在。187ケースが対象となった。成人群では致死率が33%で後遺症群が52%、小児群では致死率が3%で、後遺症群が14%であった。125人の成人群では抗生剤治療の遅れは予後の悪化とは関係がない。12時間以内に抗生剤治療を行った成人群では、抗生剤の遅れと予後の悪化とはより強かった。適切な抗生剤の最初の投与の遅延平均が1時間39分(子供1時間14分、大人2時間)で、2時間以上遅れたケースは21-37%であった。抗生剤治療の遅れは、予後の悪化とは関係はないが、予後の悪化のオッズ比は治療の遅れ1時間当たり30%づつ上昇する。

8月19日からはじめたこのブログですが、今日で丸半年です。もうちょっと読者にとってわかりやすい洗練されたものを書けるといいのですが、時間もなくて。。。どこまで続くかわかりませんが、頑張っていきます。

2009年1月16日 (金)

リー脳症の臨床的、画像的フォロー

Leigh Syndrome: Clinical and Neuroimaging Follow-Up
Pediatric Neurology Volume 40, Issue 2, Pages 88-93 (February 2009)

 リー脳症の臨床的、画像的フォローについての論文です。リー脳症はミトコンドリアのエネルギー代謝異常により生じる小児の遺伝性ヘテロジーニアスな進行性神経変性疾患である。1983年から2006年8月までにリー脳症と診断された14人の特徴的な画像所見と電顕下でのミトコンドリア形態異常、分子分析を行った。14例中11例で1歳以前に臨床症状を呈した(79%)。14例全例で中枢神経系の何らかの症状を呈した。3大徴候として精神遅滞86%、けいれん79%、意識変容57%であった。中枢神経外の症状は、14例中10例に認め、食欲不振36%、心嚢液と拡張型心筋症21%、肝機能障害21%であった。14例全例で神経画像は異常を認め、基底核か脳幹、その両方であった。基底核の中でも被殻は最も起こされやすい場所であった(92%)。6症例で臨床症状変化の際に脳MRIを施行したが、6例全例で進行していた。脳MRSを3例で行ったが。2人で経過中乳酸のピークを認めた。リー脳症の長期予後は悪く、7人が1歳6ヶ月以前に死亡した。進行例のフォロー脳MRI、MRSでは病状把握に有用である。

2009年1月15日 (木)

小児救急2施設での熱性けいれんガイドライン導入

Implementation of a Febrile Seizure Guideline in Two Pediatric Emergency Departments
Pediatric Neurology Volume 40, Issue 2, Pages 78-83 (February 2009)

 小児救急2施設での熱性けいれんガイドライン導入についての論文です。熱性けいれんは良性の疾患にもかかわらず、単純性の熱性けいれんの多くの小児は、医者個人の経験に基づいて過剰検査、治療されている。この研究の目的は小児救急2施設での熱性けいれんの管理においてEBMに基づいたガイドラインを導入した際の効果をみることである。ガイドライン導入後の、熱性けいれん児の入院率の変化、採血検査率の変化を分析した。483人の小児がこの研究の対象となった。けいれんの臨床所見はガイドライン導入前後で変化がなかったが、管理方法は変化した。まず入院率が大幅に減少したにもかかわらず、また再入院率の上昇は認めなかった。再入院症例は重度の細菌感染症例であった。採血検査をした患者割合もかなり減少した。2つの救急センターでの熱性けいれんのガイドラインを導入したところ、臨床的管理が大幅に変化した。ガイドラインを導入することで、財政的にも改善され、診療の質にも影響を及ぼす。

ガイドラインがあると臨床医にとっては心強く、思い切って入院させなかったり、採血しなかったりできます。必要かどうか迷う症例は、安全のため入院や採血をすることがあるためです。日常診療にとっては非常にありがたいものです。

2009年1月10日 (土)

6-18ヶ月児の初回単純熱性けいれん時の髄液検査の有用性

Utility of lumbar puncture for first simple febrile seizure among children 6 to 18 months of age.
Pediatrics. 2009 Jan;123(1):6-12.

 6-18ヶ月児の初回単純熱性けいれん時の髄液検査の有用性についての論文です。アメリカ小児アカデミーは6-12ヶ月の初回単純熱性けいれんの際には強く、12-18ヶ月にでもある程度腰椎穿刺による髄液検査を推奨している。今回これらの推奨がどれだけ浸透しているか調べ、どれだけの児が細菌性髄膜炎であったかを評価してみた。後方視的コホートにより、1995年10月から2006年10月までに小児救急を単純熱性けいれんで受診した6から18ヶ月の小児を評価してみた。 初回単純熱性けいれんでの受診はこの年代の救急受診の1%であり、71234受診中704例であった。初回単純熱性けいれんの27%の188人が6-12ヶ月で、残りの73%の516人が12-18ヶ月であった。腰椎穿刺は38%である271人が施行されていた。6-12ヶ月児188人の70%で、12-18ヶ月児516人の25%で検体を採取できた。腰椎穿刺の割合は明らかに年齢が上になるにつれ減少した。 髄液中の細胞数は10例で上昇していた(3.8%)。髄液培養では検出されなかった。10例の培養はすべてコンタミであり、細菌性髄膜炎と診断された例はいなかった。6-18ヶ月児での初回単純熱性けいれんの細菌性髄膜炎のリスクはとても低い。現在のアメリカ小児アカデミーの推奨は再考慮されるべきだ。

 昔1歳以下の初回熱性けいれんは全例ルンバールをすべきだと習いました。この調査では1例もいないという結果だったんですね。僕は単純熱性けいれんの11ヶ月児を入院させ、ぐずっており元気がないというわけではなかったのですが、次の日にCRPが急上昇し細菌性髄膜炎だったという経験があります。それ以来、1歳以下はできるだけルンバールするようにしています。

2009年1月 6日 (火)

Sydenham舞踏病と神経合併症

Sydenham’s chorea, and its complications affecting the nervous system
Brain Dev. Volume 31, Issue 1, Pages 11-14 (January 2009)

Sydenham舞踏病と神経合併症についての論文です。
リウマチ熱とSydenham舞踏病はよく知られており、精神症状や神経疾患と関連し、特に強迫障害やADHDを呈することがある。すべて以前の溶連菌感染がきっかけとなる。ジストニア症候群とADEMとも関連がある。これらは溶連菌感染後症候群の一部とされている。Sydenham舞踏病の原因は基底核に対する免疫反応とされ、尾状核のニューロンに対する抗体が発見されたことで裏付けられた。ドパミン作働性、コリン作働性ニューロンの不均衡が不随意運動を引き起こし、そのためある種の薬が効果的である。Sydenham舞踏病の鑑別診断は現在も議論中であり、たとえば特殊な画像検査などがあげられている。積極的治療としてペニシリンの予防投与やバルプロ酸、カルバマゼピン、ハロペリドールなどがあげられる。免疫療法はある種の患者に対する特別な治療であり、どういう状態に適応があるかの研究が必要である。

2008年12月14日 (日)

新生児髄膜炎における気脳症

Pneumocephalus in neonatal meningitis.
Pediatr Infect Dis J. 2008 Dec;27(12):1118-9.

新生児髄膜炎における気脳症についての論文です。気脳症は頭蓋内腔にガスもしくは空気がたまる病気である。外傷や手術、空気塞栓などで起きるが、まれであるが中枢神経感染症によってもおきる。今回エンテロバクタによる髄膜炎から2次的にびまん性の気脳症を来たした。診断は頭部エコーとCTによって行った。

 こんなことがあるんですね。エンテロバクタによる髄膜炎自体が珍しいと思うのですが、ガスを産生しやすい菌なのですかね。

2008年12月 7日 (日)

脳膿瘍の治療

Management of brain abscess in children.
J Paediatr Child Health. 2008 Nov 18.

 膿膿瘍の治療に関する論文です。脳膿瘍は抗生剤やCTの時代から予後が悪いため、いまだに小児脳外科が必要な疾患である。今回脳膿瘍と診断された28人の治療について報告する。1981年から2005年までの脳膿瘍の外科治療を行った28小児を対象とした。年齢、臨床症状、身体所見、画像、病因、治療とその結果について調べた。患者の年齢は生後2週間から16歳までで平均8.6歳であった。17人が男性であった。最も多い原因が隣接部の感染で11人、うち6人が慢性中耳炎であった。膿瘍は27人で天幕上で、一人が天幕下であった。全例が治療は外科治療と抗生剤の組み合わせであった。2人が排膿手段として大泉門からの穿刺で行った。膿培養では15例陽性となり、グラム陰性菌が主に検出された。9人が神経的合併症を呈し、けいれん、認知障害、麻痺を認めた。2人がなくなった。小児の脳膿瘍は、依然神経的合併症を伴いやすく、かつ死にいたる危険が高い疾患である。

2008年11月16日 (日)

感染後の中枢性低換気症候群

Central Hypoventilation Syndrome After Haemophilus influenzae Type b Meningitis and Herpes Infection.
Pediatr Neurol. 2008 Nov;39(5):358-60.

中枢性低換気症候群は小児においてHib髄膜炎や単純ヘルペス感染に引き続く脳幹や頚髄の障害によっておきる。その結果痙性四肢麻痺や呼吸器が必要となることがある。原因は一過性の免疫抑制による進行性の炎症もしくは血管炎によりおきると考えられている。

Hibやヘルペス感染後に無呼吸が起きるのですね。注意してみていかなければなりません。

2008年11月 9日 (日)

HUSの中枢神経合併症の危険因子

Risk factors for neurological complications in complete hemolytic uremic syndrome caused by Escherichia coli O157
Pediatrics International  6 Oct 2008

O157によるHUSの中枢神経合併症の危険因子についての論文です。この研究の目的は1996年に流行したO157H7によるHUSに伴う脳症の予測因子を調べることである。182人のうち71人がHUSを呈し、12人が中枢神経系の合併症を呈した。症状や身体所見、検査データを単変量と多変量解析を用いて分析した。年齢と性をあわせたあと、ロジスティック回帰したところ血便(オッズ比7.39)、たんぱく尿(オッズ比6.16)、血尿(オッズ比8.31)、顔面蒼白(オッズ比10.7)のような徴候がHUSを予測するのに有用であった。また感染時に血液白血球12000より高値(オッズ比10.0)、CRP1.5より高値(オッズ比7.39)が予測因子として有用であった。HUS患者で神経合併症を予測するのに、日平均LDH1200↑/日(オッズ比26.3)とCre0.5↑/日(オッズ比12)の上昇は多変量解析で有用だとわかった。HUSに伴う神経合併症を予測する臨床因子は存在する。

LDHとCreの上昇が激しいと中枢神経系に異常を来たすことがあるのですね。今後は注意してみていきます。

2008年11月 1日 (土)

小児細菌性髄膜炎の髄液検査前の抗生剤治療の効果

Effect of antibiotic pretreatment on cerebrospinal fluid profiles of children with bacterial meningitis.
Pediatrics. 2008 Oct;122(4):726-30.

 細菌性髄膜炎の小児における髄液検査前の抗生剤治療の効果についての論文です。
この研究の目的は、細菌性髄膜炎の小児の腰椎穿刺による髄液検査前の抗生剤の効果を評価することである。2001年から2004年において、20の小児救急病院に訪れた1ヶ月から18歳の細菌性髄膜炎のカルテを調べた。細菌性髄膜炎は髄液細菌培養陽性、血液培養陽性かつ髄液白血球増加もしくは髄液のラテックス凝集反応陽性かつ髄液白血球増加で診断した。血液培養や髄液の培養が陰性でも髄液のグラム染色陽性が陽性なら細菌性髄膜炎疑いとして診断した。抗生剤の前投与の定義は、髄液穿刺前の72時間の抗生剤投与とした。231人の細菌性髄膜炎患者と14人の細菌性髄膜炎疑い患者を調査した。患者年齢、病気の期間や重症度、病原菌をあわせても、抗生剤前投与期間が長くても髄液の白血球数や髄液の好中球の数とは関係があまりなかった。しかしながら抗生剤前投与は髄液糖の低下阻害と髄液蛋白の上昇阻害とは強く関係していた。前投与から12時間以上経っている患者では前投与をしていない、もしくは12時間以内に投与した患者と比較して、髄液の糖はかなり高く (48 mg/dL vs 29 mg/dL) 、髄液の蛋白はかなり低かった(121 vs 178 mg/dL)。細菌性髄膜炎の患者では抗生剤の前投与は、髄液の白血球の数は変わらないが、髄液糖低下阻害や髄液蛋白上昇阻害と関連しているといえる。

 普通細菌性髄膜炎だと髄液の糖は低値で、髄液の蛋白は高値となります。これを前投与により抑えてくれるんですね。やはり前投与により細菌増殖が妨げられるのでしょうか。

2008年10月22日 (水)

クリプトコッカス髄膜炎

Cryptococcus meningitis and skin lesions in an HIV negative child.
J Clin Pathol. 2008 Oct;61(10):1138-9. Epub 2008 Jul 19.

HIV陰性の小児におけるクリプトコッカス髄膜炎と皮膚病変に関する論文です。全身性のクリプトコッカス感染症は、免疫が正常な人にとってはあまり遭遇しない感染症であり、主に免疫不全症の人におきる。今回クリプトコッカスによる髄膜炎と皮膚病変を呈した4歳のHIV陰性の男児について報告する。彼は熱で発症し、メニンギスムスと皮膚病変を呈した。診察中、彼は混乱し、非協力的であった。また項部硬直と皮膚病変が出てきた。皮膚擦過を含む敗血症スクリーニングを行い、髄膜炎菌による髄膜炎を念頭にペニシリンとセフトリアキソンにて治療を開始した。髄液蛋白、糖、Clは正常であった。髄液のグラム染色と皮膚擦過から糸状菌が検出された。髄液の墨汁染色とクリプトコックス・ネオフォルマンスのラテックス凝集テストは両者ともに陽性であった。皮膚生検の細菌培養では、髄液、血液培養はともに陰性であった。この結果を踏まえ、アンホテリシンBによる治療を行い、神経的な後遺症を残すことなく徐々に回復した。彼は経口のフルコナゾールを続けている。

2008年9月23日 (火)

ヒトパルボウイルスB19関連脳炎

Acute encephalopathy with human parvovirus B19 infection in hereditary spherocytosis.
Pediatr Infect Dis J. 2008 Jul;27(7):651-2.Links

 遺伝性球状赤血球症(HS)のヒトパルボウイルスB19の急性脳症についての論文です。HSの9歳の女児が無形性発作を起こし、さらにヒトパルボウイルスB19感染関連脳症を来たした。臨床経過中、患者の血清ならびに髄液からパルボウイルスB19のDNAをPCRを用いて追跡したところ、ウイルス量がピークのときに脳症症状を呈した。パルボウイルス関連脳症がパルボウイルスの直接浸潤によって起こったと思われた。

 HSの無形性発作はたまに経験します。どうしても血液データばかりに注意が行きます。脳症様の症状は呈したことがないので、注意してみていかなければなりませんね。

2008年9月21日 (日)

感染後オプソクローヌスミオクローヌス症候群に対するリツキシマブとIVIGの併用療法

Rituximab and intravenous immunoglobulins for relapsing postinfectious opsoclonus-myoclonus syndrome.
Pediatr Neurol. 2008 Sep;39(3):213-7.

 再発性の感染後オプソクローヌスミオクローヌス症候群に対するリツキシマブとIVIGの併用療法に関する論文です。私たちは感染後オプソクローヌスミオクローヌス症候群の二人の子どもを経験した。患者は最小はメチルプレドニゾロン、IVIG、リツキシマブの単剤療法にそれぞれ反応したが、持続的な神経障害と再発を繰り返した。リツキシマブとIVIGの併用療法にて明らかな長期臨床的緩解が得られた。

 リツキシマブは抗ヒトCD20ヒト・マウスキメラ抗体からなるモノクローナル抗体です。B細胞を標的とする抗体ですね。B細胞系の腫瘍(非ホジキンリンパ腫)などでもopsoclonus-myoclonus 症候群は起きるので、B細胞が病態に関わっているのですね。

2008年9月 3日 (水)

ウガンダにおけるHibワクチンの効果

Bacterial meningitis following introduction of Hib conjugate vaccine in northern Uganda.
Ann Trop Paediatr. 2008 Sep;28(3):211-6.

セイントマリー病院は北ウガンダのグル地区にある。そこでは戦争と内乱のために患者の多くはキャンプ生活をしている。その病院によって小児の細菌性髄膜炎の公衆調査が行われている。2002年の合成Hibワクチン導入以前はHibはこの地域の細菌性髄膜炎の主な起炎菌であった。2003年の4月から2006年の8月全ての細菌性髄膜炎を疑う患者を抽出し、菌の同定を行った。この期間に4986例の細菌性の髄膜炎を疑う患者がおり、うち395人は化膿性の髄液であった。培養は259人(65%)から得られ、肺炎球菌が132人(51%)、Hibが22人(8.5%)、サルモネラ種が85人(32.8%)、髄膜炎菌が9人(3.5%)、その他が11人(4.2%)であった。調査期間ではHib髄膜炎の有病率の明らかな低下があり、2001年には1年あたり42人であったのがわずか3例以下にまで下がった。5歳以下の肺炎球菌による髄膜炎の最小の罹患率は10万人あたり33.7例でありそれは乾期により増加する。チフス以外のサルモネラ種による髄膜炎の最小罹患率は10万人当たり22.7人であり、小児の細菌性髄膜炎の2番目に多い原因であり、その致死率は18.2%に及ぶ。国家の予防接種対策によるHib合成ワクチンは5歳以下の子どものHibによる髄膜炎を減少させた。アフリカにおける細菌性髄膜炎の引き続き行われる研究室主体の調査ではワクチン対策の効果を評価し、他のワクチンで予防できる菌体を見つけ出す必要がある。

日本でもHibワクチンが導入されますよね。これまでみた細菌性髄膜炎はほぼずべてHibによるものだったので、これからはぐっと減ることだと思います。はやく娘にも、うけさせなくては・・・。