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カテゴリー「小児精神」の14件の投稿

2009年11月11日 (水)

ADHDと境界型人格障害の思春期女児の喫煙におけるメチルフェニデート治療の影響

Influence of methylphenidate treatment on smoking behavior in adolescent girls with attention-deficit/hyperactivity and borderline personality disorders.
Clin Neuropharmacol. 2009 Sep-Oct;32(5):239-42.

ADHDと境界型人格障害の思春期女児の喫煙におけるメチルフェニデート治療の影響の論文です。喫煙とニコチン依存はADHDの小児人口の中で広く流行っている。今ADHDと境界型人格障害(ADHD/BPD)を持つ思春期女児の喫煙におけるメチルフェニデート(MPH)治療の影響を評価した。14-19歳の12人のADHD/BPDの思春期女性スモーカーが、MPHにより8週間治療をうけた。ADHDの重症度はADHD-RSにより評価し、喫煙行動はFagerstorm Test for Nicotine Dependence(FTND)により評価した。ADHD症状はかなりの改善を認めた(ADHD-RSで治療前が平均33.1標準偏差6.8に対し、治療後は平均19.9 標準偏差6.8でtが6.875, dfが11, Pが0.0001であった。FTHDでの評価でも低下を認めており、治療前で平均4.1標準偏差2.6に対し、治療後は平均2.0で標準偏差1.9, tは4.056, dfは11, Pは0.0019であった。MPH治療後のおけるADHD-RSとFTNDの変化率には大きな相関は認めなかった(r = 0.09935, P = 0.7587)。結論としてメチルフェニデートはADHD/BPDの思春期女児スモーカーにおける喫煙行動を弱める働きがあるといえる。

2009年10月 9日 (金)

 トゥーレット症候群の神経画像(Alpha-[11C]Methyl-L-TryptophanによるPETと拡散テンソル画像)

Multimodality Neuroimaging in Tourette Syndrome: Alpha-[11C]Methyl-L-Tryptophan Positron Emission Tomography and Diffusion Tensor Imaging Studies.
J Child Neurol. 2009 Sep 11.

 トゥーレット症候群の神経画像(Alpha-[11C]Methyl-L-TryptophanによるPETと拡散テンソル画像)についての論文です。トゥーレット症候群のこれまでの研究では、皮質基底核視床皮質回路の神経伝達物質と微細構造の異常偏在化が報告されている。今回16人のトゥーレット症候群の患者を対象にセロトニン合成とこの回路に関係する尾状核やレンズ核、視床などの皮質化構造の微細構造変化との関係を、Alpha-[11C]Methyl-L-Tryptophan PETと拡散テンソル画像を用いて解析した。拡散テンソル画像とAlpha-[11C]Methyl-L-TryptophanによるPETの非対称性を尾状核にて認めた。異常拡散側が高セロトニン合成を示していおり、その所見は機能的異方性や水平方向の拡散が低いこと、垂直方向の拡散が高いことから明らかである。またこれらの異常画像は、尾状核における非対称性の未熟な微細構造がトゥーレット症候群におけるセロトニン合成が異常に増加しているのと関係があることを示している。今回示された拡散テンソル画像は、皮質基底核視床皮質回路における異常結合と関係があり、皮質の脱抑制と増加したセロトニン合成となって表れている。これは新しい治療ターゲットを示している。

2009年8月27日 (木)

自閉症やほかの行動障害持における小児の鎮静としてののデクスメデトミジン

Dexmedetomidine for procedural sedation in children with autism and other behavior disorders.
Pediatr Neurol. 2009 Aug;41(2):88-94.
自閉症やほかの行動障害持における小児の鎮静としてののデクスメデトミジンについての論文です。デクスメデトミジンは小児の非侵襲的鎮静手段として最近増えてきた。今回ほかの鎮静では難しい自閉症や行動障害の小児に対し、デクスメデトミジンを用いた後方視的研究を行った。自閉症や行動異常児で、Chris Evert Children's HospitalとKosair Children's Hospitalでデクスメデトミジンで鎮静をした小児をまとめた。薬物動態と鎮静関連のデータ(鎮静剤量、鎮静時間、効果、合併症)を集めた。鎮静剤量、自閉症と行動障害間での効果の違い、年齢関連因子の分析を行った。315人に鎮静を行い、ほとんどがMRIを行うためであった。平均デクスメデトミジン初期量と総投与量は1.4 +/- 0.6と2.6 +/- 1.6 μg/kgで、自閉症と行動障害患者での差は認めなかった。90%の患者は、同時にミダゾラムでも行った。ミダゾラムの使用に関わらず、年齢が増すとデクスメデトミジン量は減少した。7人が低血圧、徐脈、またその両方に対し、対処が必要であった。一人のみ呼吸抑制を呈し、鼻咽頭エアウェイを必要とした。2人で明らかな、リカバリー関連の興奮を認めた。4人を除いて全員で、鎮静は何事もなくうまくいった。デクスメデトミジンはミダゾラムの併用に関わらず、このような患者に対し効果的な鎮静薬と思われる。このやり方は、リカバリー関連の興奮も含めあまり副作用がなく、このような患者に対する良いやり方だと考えられた。

※Dexmedetomidineは非常に選択性の高いα_2アドレナリン受容体作動薬で,ユニークな鎮静作用(寝ているようにみえるが,容易に覚醒する)と交感神経抑制作用を有する薬剤である.

2009年8月24日 (月)

部分顔面カタプレキシーを伴う小児ナルコレプシー

Childhood narcolepsy with partial facial cataplexy: a diagnostic dilemma.
Sleep Med. 2009 Aug;10(7):797-8.
部分顔面カタプレキシーを伴う小児ナルコレプシーについての論文です。ナルコレプシーカタレプキシーと最終的に診断された成人の16%が10歳以前に発症し、4.5%は5歳以下に発症している。小児のナルコレプシーカタレプキシーの症候学は成人のとは大きく異なり、誤診を招きやすい。標準診断ツールとしてポリソムノグラフィーや睡眠潜時反復検査があるが、偽陰性となりやすく、この疾患を除外できない。髄液のヒポクレチン(オレキシン)検査は小児でもできるだけ早急に行うべきである。今回頭部外傷後に急性発症のナルコレプシーカタレプキシーを呈した5歳女児を報告する。初期徴候は日中の過度の眠気と部分顔面カタレプキシーと重度の行動異常であった。髄液のヒポクレチン1は検出感度以下であった。

2009年7月 3日 (金)

小児期崩壊性障害の行動言語運動退行に対するステロイド治療

Corticosteroid treatment of behaviour, language and motor regression in childhood disintegrative disorder.

Eur J Paediatr Neurol. 2009 Jul;13(4):367-9. Epub 2008 Jul 14.

小児期崩壊性障害の行動言語運動退行に対するステロイド治療についての論文です。小児期崩壊性障害は、発症以前は正常発達で、その後徐々に社会、コミュニケーション、行動能力などのできたことができなくなる病気である。今回小児期崩壊性障害と確定した二人の小児にコルチコステロイドを投与したところ、行動、言語運動の退行の改善が認められたので報告する。

2009年6月23日 (火)

メタンフェタミンにより誘発された複雑幻視

Methylphenidate Induction of Complex Visual Hallucinations.
J Child Neurol. 2009 Jun 5.
メタンフェタミンにより誘発された複雑幻視についての論文です。ADHDの15歳男児が、メタンフェタミンを最小量投与した後に、ねずみが周りを走り回り、彼にさわり、においをかいでくるといった幻視を認めた。幻視はメタンフェタミンの中止によりなくなった。より少ない量で、7年後に再度メタンフェタミンを投与したところ、ふたたび幻視が生じた。メタンフェタミン関連のほかの生き物が出てくる幻視は、ほかにも文献的に例がある。そのメカニズムはよくわかっていない。今回ごく微量のメタンフェタミンで、2回幻視がおきたということは、特有の反応が考えられる。これは薬剤誘発性モノアミントランスミッター異常により説明できる可能性がある。
メタンフェタミンが広く使われるようになり、医者はこういった副作用を知っておくべきである。

2009年4月13日 (月)

トゥーレット症候群の小児のQOL

Determinants of quality of life in children with Gilles de la Tourette syndrome.
Mov Disord. 2009 Mar 20.

トゥーレット症候群の小児のQOLについての論文です。この研究の目的はトゥーレット症候群の小児の重度のチック、注意欠陥障害、強迫行動とQOLとの関係について調べることである。トゥーレット症候群は運動機能や行動の障害をともなった多方面が侵される疾患である。しかしながら、それらの症状がいかにトゥーレット症候群の患者のQOLにかかわっているかはあまり分かっていない。今回、トゥーレット症候群と診断された56人の外来患者さんを評価した。平均年齢は10歳で5-17歳であった。チックは、Yale Global Tic Severity Scale (YGTSS)にて評価した。行動スケールはChildren's Yale-Brown Obsessive Compulsive ScaleとAttention-Deficit/Hyperactivity Disorder (ADHD) rating scaleを用いた。患者の親にもthe TNO-AZL Children's Quality of Life scaleを完成させてもらった。YGTSSスコアは4から30の間で、軽度から中程度のチックの重症度であった。運動ならびに音声チックの頻度はQOLとは関係がなかった。しかしながらADHDとOCDはQOLとかなり関係があった。ADHDサブタイプとしては多動のない注意欠陥のほうがよりQOLは低かった。ADHD、Leyton OCD、とチック重症度が同時に存在するとき、チックの重症度はそれほど重要ではなく、一方、ADHDとOCDがQOLにはかなり重要である。つまりは軽度から中等度のトゥーレット症候群の患者ではQOLはADHDとOCDが共存しているかどうかで決まる。ADHDは多動よりも注意欠陥のほうがQOL低下と関係している。チック患者のQOL改善には、併存疾患の治療を考慮しなければならない。

 チックを治すよりは、強迫症状とか注意欠陥のほうをしっかり見ていかないと患者ならびに家族が本当によくなったとは感じないわけですね。

2009年1月28日 (水)

小児の慢性疲労症候群

Chronic fatigue syndrome/myalgic encephalopathy in children
Paediatrics and Child Health Volume 19, Issue 2, February 2009, Pages 84-89

 小児の慢性疲労症候群と筋痛性脳症についての論文です。小児の慢性疲労症候群/筋痛性脳症はよく認める疾患であるが、疾患の定義、症例の状態、病因、治療、予後に関しては意見が分かれる。混在する情報のために適切な診断や治療が遅れることもある。今回、小児の慢性疲労症候群/筋痛性脳症の評価、診断、治療の最良の方法について現在の知見を述べる。願わくばこれから、慢性疲労症候群/筋痛性脳症の小児の、患者中心で最適な臨床的に効果のある多方面からの治療戦略の構築ならびに運用プランを立てていきたい。

 たまに慢性の疲労性症候群でないかと思われる患者を持つことがあります。なかなか治療戦略が進まないことも多いですね。こういうのがあると役に立ちます。

2009年1月26日 (月)

セロトニントランスポーター遺伝子多型(5-HTTLPR)

Serotonin transporter gene polymorphism (5-HTTLPR), environmental conditions, and developing negative emotionality and fear in early childhood.
J Neural Transm. 2009 Jan 10.

セロトニントランスポーター遺伝子多型(5-HTTLPR)と環境因子、小児期初期の内向性や恐れの出現にに関する論文です。5-HTTLPRの神経学的、行動学的関連についての研究により、乳児の情緒面の発達において5-HTTLPRの遺伝子型と環境因子の相互作用があるということを強く示唆されてきた。しかしながらヒトの乳児を対象とする研究はまれである。今回、5-HTTLPR遺伝子タイプと乳児の内向性や恐れが生じる際の母親の行動を分析した。69人の健康な第1子を対象とし、内向性や恐れを多方面から4,8,12ヶ月で分析した。これまでの母親行動の評価は、18ヶ月時点での奇異な状況に対する反応で測定されてきた。5-HTTLPR遺伝子型がsタイプのホモの乳児に、育児者が不安をもって接すれば、内向性や恐れが強く出現する。この結果はヒト以外のモデルでの実験結果と合致し、sタイプのホモの乳児は初期の育児経験に対してより深い感情を持つことを示している。

2009年1月18日 (日)

エジプトの自閉症小児の自己免疫のマーカーとしての抗核抗体

Serum Anti-Nuclear Antibodies as a Marker of Autoimmunity in Egyptian Autistic Children
Pediatric Neurology Volume 40, Issue 2, Pages 107-112 (February 2009)

 エジプトの自閉症小児の自己免疫のマーカーとしての抗核抗体についての論文です。自閉症の一部に自己免疫学的機序が関与するものがいる。80人の自閉症の小児に抗核抗体の頻度を測定し家族歴を調査し、80人のコントロール小児と比較した。自閉症の小児は20%もの子が陽性で、正常小児の2.5%に比べ著しく高かった。抗核抗体が陽性の自閉症児の50%が640倍で25%が160倍で、残り25%が80倍であった。健康児での抗核抗体陽性例は皆80倍であった。自己免疫疾患の家族歴は自閉症児のほうでかなり高かかった。自閉症児で家族歴があるほうが、ないよりも抗核抗体陽性例は高かった。抗核抗体陽性は自閉症の重症度(知的障害や脳波異常)と関連があった。自己免疫はある種の自閉症では、重要な役割を担っているかもしれない。さらに研究をすすすめて、自閉症児の抗核抗体陽性、他の自己免疫マーカー(たとえば脳特異抗体)、免疫療法を解析していく。

 これまでも抗ミエリン関連グリコプロテイン抗体との関連や自己免疫ではないですが、マクロファージ遊走阻止因子との関連についての論文を紹介したことがあります。血液マーカーから自閉症病因にアプローチするのも興味深いですね。